IN LOGISTICS · ISSUE 398

(仮ビジュアル)ベージュの空間で、黒い石の細長い天板を、灰青のガラス・銀の金属・赤い漆の3本の脚が支えているコンソールテーブル● 12 SEC
Visual: ALIFE Editorial

人手不足は、工夫で乗り切れる。運ぶ人が足りないという話は、たいてい最後にここへ落ち着きます。では、その工夫の中身は何だったのか。頼んでいた運送が思うように捕まらない、翌日だったものが翌々日になる、送料の案内が変わる——身近な変化の裏側を、確かめられたところまで見ていきます。

はじめに断っておきます。この号は、運べる量が何%足りなくなる、という割合の数字を書きません。読めた公式ページ2点に、その数字が無かったからです。書けるのは、制度として何が動いたか、そして連携と配車について研究が何を報告したか——その範囲です。

2024年問題とは、2024年から、トラックの運転の仕事にも時間外労働の年間上限が及ぶようになり、運べる量が目減りするのではないかと懸念される一連の問題を指します。国土交通省の公式ページは、働き方改革に関する法律が2024年4月から適用される一方で、物流の停滞が懸念される「2024年問題」に直面している、と書いています。ここは解釈ではなく、公式ページの印字をそのまま置きます。

(仮ビジュアル)薄暗い部屋の黒枠の大きな鏡の前で、黒いローブ姿の女性が鏡に映った自分と静かに向き合っている写真
制度として動いたことだけを、公式ページの印字どおりに置く。割合の数字は、そこに無い。 Visual: ALIFE

動いたのは法律です。流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和6年法律第23号)が2024年5月15日に公布され、荷主・物流事業者への努力義務が2025年4月1日から施行、特定事業者のうち荷主には物流統括管理者の選任が2026年4月から義務づけられました。法律の名称も「物資の流通の効率化に関する法律」へ変わっています。

01公式ページに載っていたのは、日付と義務だった。国土交通省の公式ページが印字しているのは、改正法の公布日(2024年5月15日)、努力義務の施行(2025年4月1日)、物流統括管理者の選任義務(2026年4月)です。同じページは、軽トラック運送業の死亡・重傷事故件数が最近6年で倍増したことにも触れています。運べる量が何%足りなくなるという割合は、読めたこの2ページには書かれていません。

02154社が答えた調査で、壁の一位は分け前だった。2004年3月、ベルギー・フランダースの物流事業者1,537社へ個別の質問紙が郵送され、有効回答は154社(ほかに聞き取り11件)。共同配送のような同じ立場どうしの連携について、九つの阻害要因を評価してもらった調査です。順位の一位は、得られた利益を公正に分けることでした。抄録は、節約分の見積り・測定・配分がもっとも深刻な阻害要因だと書いています。

03規制を満たす運行計画が、いつも在るとは限らない。労働時間に上限があると、配車に「決めた時間で運びきる」という条件が一つ増えます。2010年の研究は、欧州連合の規則のもとで勤務を組む手法を示し、抄録に、規則を満たす計画が存在するなら必ず見つかると書きました。存在しない場合がある、という含みです。2022年の研究も、互いに依存する経路では実行可能な計画を出せないことがあると書きます。どちらも計算機上の比較で、実運用の車両データではありません。

(仮ビジュアル)ベージュの空間で、黒い石の細長い天板を、灰青のガラス・銀の金属・赤い漆の3本の脚が支えているコンソールテーブル
制度の日付、154社が答えた壁の一位、そして解が在るとは限らないこと。 Visual: ALIFE

自分の段取りが、誰かの時間を当てにしていないか。日常の言い方に、手がかりが出ます。

01「明日でお願いします」が、口ぐせになっている。翌日に届くことを前提に段取りを組んでいるなら、その前提は、誰かの運転時間の上に立っています。読めた公式ページが書くのは、働き方改革に関する法律が2024年4月から適用される一方で物流の停滞が懸念されている、というところまでです。前提のほうを見直せる余地は、頼む側の手元にもあります。

02割合の数字を、出どころを見ずに引いている。「対策しなければ◯%足りなくなる」という数字は、世の中に流通しています。ただし、この号が読めた公式ページ2点に、その割合はありませんでした。手元にあるのがその数字だけで、載っている資料の名前が出てこないとき、話は出どころから離れています。

03積み合わせれば済む、と話が終わっている。154社が答えた調査で壁の一位に挙がったのは、利益をどう分けるかでした。積み方の工夫より前に、誰と、どこまで手の内を見せるかが残ります。「みんなで積み合わせればいい」で話が終わるとき、いちばん難しいところが飛ばされています。

(仮ビジュアル)縦に3分割された写真。左は乱れた寝具のベッド、中央は窓の外へ目を向ける女性、右は玄関の床に脱ぎ置かれたコートと鍵
工夫という言葉は、前提と出どころを飛ばしたところで、よくすり替わる。 Visual: ALIFE

ここで引いた質問紙調査は、2004年のベルギー・フランダースの物流事業者が対象です。配車の2本は計算機上の比較で、実運用の車両データではありません。一日に数個を送る商い、外注の運送に任せる小さな事業、催事の搬入出を段取りする人に、そのまま当てはまる結果ではありません。

全文まで読めたのは、研究4点のうち2点。読めていないものについては書きません。運べる量が何%足りなくなるかという割合も、読めた公式ページ2点に無いので、この号は書きません。

154社が答えた調査で、
連携の壁の一位は、利益の分け方だった。

連携は、荷物を合わせる話である前に、誰と、どう分け、どこまで見せるかという話になる——というのが、この号の読み筋です。同じ論文は、宅配の分野では相手に別の狙いがあるのではないかという疑いが自由記述に現れたことも書いています。

しかも、すでに組んでいる側と、まだ組んでいない側とで、九つの壁の評価に明確な差は出ませんでした(検定はどの項目でも差を示していません)。組む前に予想される壁は、組んだあとも同じように経験されている、というのが著者の書き方です。

TRY IT TODAY

  1. 01LIST

    直近の自分の発送、または受け取った荷物を、三件だけ思い出して書く。

  2. 02ADD

    それぞれに、手配した日と、届いた(届けたかった)日と、その間の余裕が何日あったかを添える。

  3. 03MARK

    余裕がいちばん短い一件に印を付け、その理由を「自分の都合/相手の要望/慣れ」から一語だけ選んで書く。

10分。運送会社や取引先に事情を聞いたり、相手の対応を評価したりはしません。運賃の交渉も、会社の良し悪しの判断もしません。これは研究結果そのものではなく、記録の単位を変えてみるためにALIFEが提案する実践入口です。

制度が動いたこと、154社が答えた調査で壁の一位が利益の分け方だったこと、規制を満たす計画が在るとは限らないこと。読めた範囲で言えるのは、ここまでです。「工夫で乗り切る」と言うとき、その中身は、ひらめきではなく、狭くなった条件の中で運び方を組み直す作業のほうだった——というのが、この号の読み筋です。

SECOND LAYER · FULL SYLLABUS「運び手不足に備えるには?」を、もっと深く学ぶ。→

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本コンテンツは学習目的であり、診断や治療の代替ではありません。