IN LOGISTICS · ISSUE 386
● 12 SEC運びの効率の話は、たいてい積載率を上げるへ落ち着きます。半端に空いた荷台を埋めれば、同じ一回でより多く運べる——理屈は、そのとおりです。
ただ、その積載率という数字が何を数えているのかは、思ったより一つに決まっていません。先に断っておくと、この号が引いたのは6点。全文まで読めたのは2点で、残る4点は公式の要旨までです。読めていないことは書きません。 上げ方の手引きも書きません。
積載率(load factor)は、車の運べる量のうち、どれだけ荷を積めたかの割合です。国の貨物輸送統計にはこれにあたる指標があり、公表されている用語の解説では積載効率と呼ばれ、「自動車の輸送能力に対する、実際の輸送活動(トンキロ)の割合を表したものです。輸送トンキロ÷能力トンキロ×100」と定められています。トンキロは、運んだ重さに運んだ距離を掛けた量のこと。つまりこの指標の分母は、重さ×距離です。

同じ解説には、実車率も並びます。分母は走った距離で、「実車キロ÷走行キロ×100」。さらに実働率もあり、こちらの分母は車の延日数です。三つとも「その車はどれだけ働いたか」を測る数ですが、置かれた分母は別々。公的な数字どうしが比べられるのは、それぞれの分母が一つに決められているからです。逆に言えば、分母を書いていない「積載率◯%」は、この三つのどれとも結びついていないかもしれません。
01空いた分を埋め戻せる余地は、思うほど無かった。英国の政府の道路貨物調査と、2002年に食品の供給連鎖で行われた運行実績の調査(20,000件超の運行)を使い、空車で走った区間へあとから帰り荷を当てはめられるかを後ろ向きに数えた研究があります。四つの条件で選り分けた結果、適した帰り荷が見つかったのは空の走行区間の2.4%、空車の走行キロにすると2%でした。読めたのは公式の要旨までです。
02協働に関心があると答えたのは、147件中74件。ベルギー・フランダース地方の物流サービス事業者1,537社へ2004年に質問紙が送られ、有効回答は154件。うちこの設問に答えた147件中74件(49%)が、近い将来に協働を(より進めて)行うことに関心があると答えました。同じ調査は、業種によっては根強い不信があるとも記します。関心の段階の割合で、実行した割合ではありません。
03うまくいった実例は、まれだと書かれている。協働を実地に入れる難しさを整理した総説は、費用の削減や、走行距離が減ることによる排出の減少という見込まれる利点を先に挙げます。そのうえで、それでも成功した実例はまれで、この種の協働はふつう長続きしないと述べ、実務上の問題を16件、四つのまとまり(設計/計画と運用/市場と事業/ふるまい)に分けています。効果を測った実験ではなく、読めたのは公式の要旨までです。

受け取った数字を、どこまで確かめたか。手元の言い方のほうに出ます。
01◯%とだけ書かれた数字を、そのまま並べている。分母の書いていない二つの積載率を並べても、同じものを比べているとは限りません。公的な数字が比べられるのは、分母がそれぞれ一つに決められているからでした。まず「これは何を分母にした数か」を確かめる。それだけで、比べてよい相手かどうかが分かれます。
02空いている分は、埋められるはずだと思っている。埋め戻しの余地を後ろ向きに数えた研究では、条件を満たす帰り荷が見つかったのは空の走行区間の2.4%でした。対象は英国の食品の供給連鎖で、平均の運行距離が短いこと、時間の段取りが詰まっていること、冷蔵の使い方がまちまちなことが制約として挙げられています。別の業種や国に、そのまま当てはまる数ではありません。
03組めば下がる、と数字を先に置いている。横に手を組むことの障壁を順位づけた調査で、いちばん高く挙がったのは利益を公正に分けること、次が全員が満足するように調整できる相手を見つけること、その次が小さい側が顧客を失う懸念でした。荷の積み合わせより先に、人と組織の折り合いが来ています。

よく語られる「他社と積み合わせればこれだけ下がる」という削減の幅は、この号では書きません。引いた6点のうち、全文まで読めた2点の本文にも、要旨まで読めた4点の要旨の範囲にも、その幅にあたる数は見当たりませんでした。出どころを辿れない数字は、否定の形でも運ばないことにしています。
標本も断っておきます。協働の側の材料は、ベルギー・フランダース地方の物流サービス事業者への質問紙調査と、その周辺の文献を総括した二本が中心です。調査と総括は、同じ年に同じ研究班が出していても別物で、同じ主語では語れません。埋め戻しの2.4%は、英国の食品の供給連鎖での後ろ向きの分析で、原著自身が標本の取り方に不備があると書いています。1日に数個を送る人の便に、そのまま当てはまる数ではありません。
満載の写真は、荷台が埋まったことは映すが、
どの分母で埋まったのかは映さない。
だから、積載率が高いという一行を見たら、まず分母を探します。重さ×距離か、走った距離か、車の延日数か。公式の側は、その分母をはっきり決めて公表しています。決めてあるから、比べられる。
TRY IT TODAY
- 01PICK
直近に自分が出した便を一つ選び、今日の日付と一緒に書く。
- 02SPLIT
ページを左右に分け、左に積み方の実感、右に分母になりそうな語を一つ書く。
- 03MARK
分母が二つ以上ありうる箇所に印を付け、印の数だけを数える。
積載率という語には、便利な顔があります。パーセントで書けて、誰が測っても同じに見える。けれど公表されている解説は、同じ「どれだけ働いたか」に三つの分母を立てていました。数字の高い低いより先に、どのものさしで数えたか。それが、この一桁の読み方です。
SECOND LAYER · FULL SYLLABUS「積載率を上げるには?」を、もっと深く学ぶ。→