IN SALES · ISSUE 379
● 12 SEC見込みの案件を足し上げて、来月いくら売れるかを言う。そこへ経験と勘で手を入れて、これくらいだろうと決める。予測とは、申告の合計に人の判断をもう一枚重ねる作業です。
よく言われるのは、手を入れるほど外れる。この号が読んだ実データは、そこまで単純ではありませんでした。先に断ると、当たる直し方は書きません。運べるのは、どの直し方がどちら側へ出たか、だけです。
売上予測(フォーキャスト)は、見込みの案件を足し合わせ、経験や勘で補正して、ある期間に売れる金額を前もって言う作業です。足す材料の一つ一つが、置いた本人の申告でした。予測は、その山にもう一枚、人の判断を重ねます。
だからここで問うのは、計算式の優劣ではありません。人が数字に手を入れるという行為そのものに何が起きるかです。判断を精度の敵とみなす見方は、すでに古いものになっています。25年分を振り返った総説は、判断を “an indispensable component of forecasting”(予測に欠かせない部品)と呼び、利益ももたらすが多くの偏りも受けると書きました。

ただし、読めた層はそろっていません。この号が引いた6点のうち、全文まで読めたのは2点。残りは要旨までか書誌までで、読めていないものについては、そこに書かれていること以上を書きません。場面も個人の商いではありません。測られたのは、供給連鎖の需要計画と、消費者向け電子機器の会社1社の予測会議です。
014社中3社は、平均では手を入れて当たっていた。供給連鎖の会社4社から、6万件を超える予測と結果を集めた研究があります。計算機が出した初期の予測を、需要の担当者が手で上下させる。その調整が精度をどう変えたかを見ると、“In three of the companies, on average, judgmental adjustments increased accuracy.”(4社のうち3社では、平均すると、判断による調整は精度を上げた)。手を入れると必ず外れる、ではありません。会社の実データの観察で、直す・直さないを割り付けた試験ではありません。
02外していたのは、小さな手直しのほう。同じ研究の内訳では、向きが分かれました。比較的大きな調整は平均して改善につながりやすく、小さな調整はしばしば精度を損なっていた。さらに、予測を上へ動かす調整は、下へ動かす調整より改善につながることがずっと少なく、誤った向きに入れられることも多かった。著者らはそこに楽観への一般的な偏りを読み取っています。
03押し上げていたのは、歩合で報われる側。消費者向け電子機器の会社1社で、合意形成型の予測会議を追った事例研究があります。歩合で報われる営業は、品切れを避けようと予測を高いほうへ押す。在庫が想定より積み上がった理由も、“overly optimistic forecasts from sales”(営業からの過度に楽観的な予測)と説明されました。この事例で低く出していたのは、営業の側ではありませんでした。1社の事例で、面談で語られた見立てを含みます。

自分の見込みがどちら側に寄っているか。手がかりは、当たり外れの回数よりも、外した向きと動かした幅のほうにあります。
01小さく、こまめに直している。4社・6万件超の内訳で、平均して改善につながりやすかったのは比較的大きな調整のほうでした。小さな手直しはしばしば精度を損なっています。少しだけ動かす癖があるなら、その少しが何をしているかは、記録しないと見えません。
02上へ動かすときだけ、手が伸びやすい。同じ4社のデータでは、予測を上へ動かす調整は、下へ動かす調整より改善につながることがずっと少なく、しかも誤った向きに入れられることが多くありました。上へ直したくなったとき、下へ直すときと同じだけの根拠があるか。向きは、残しておかないと後から分かりません。
03目標に使った数字を、予測と呼んでいる。13の組織の売上予測を調べた現地調査があります。予測が達成すべき目標として使われているときは、“the forecasts tended to be below the actual”(予測は実際を下回る傾向があった)。これは25年分の総説が引いた別の研究の観察で、この号はその総説を通してしか読めていません。

では、時間をかければ良くなるのか。予測管理の実務を1984年と1995年の調査と比べた、2006年の調査があります。答えたのは予測を担当する役職者で、結果は、手法へのなじみも予測精度も下がっていた、というものでした。同じ人たちを追いかけたのではなく、時期の違う3回の調査を並べた比較で、精度は答えた本人の申告です。
この号が引いた実証は、供給連鎖の需要計画と、電子機器の会社1社の予測会議で採られました。一人で見積もりを出す商い、季節で受注がまるごと動く商いが、同じ振る舞いをするとは限りません。人の判断による手法と計算による手法のどちらが実務で効くかを正面から比べた一本は、書誌までしか読めませんでした。その中身は運びません。
4社中3社で平均は上がっても、
小さな手直しは外していた。
手を入れること自体が悪いわけでも、丁寧に直せば当たるわけでもありませんでした。読めた範囲で分かれていたのは、どれくらい動かしたかとどちらへ動かしたかです。効く直し方を教える材料は、この号にはありません。できるのは、自分が過去に置いた見込みと結果を並べて、外した向きを残しておくことだけです。
TRY IT TODAY
- 01PICK
過去に自分が置いた売上・売れ高の見込みを一つ選び、その数字を書く。おおよそでよい。
- 02PAIR
実際の結果を、その下に書く。思い出せなければ「不明」と書いて次へ進む。
- 03SORT
差を「上に外した・下に外した・ほぼ当たった」の一語で分ける。誰にも確かめに行かない。
並べ直すと、こうなります。4社のうち3社では、平均すると手を入れた予測のほうが当たっていた。けれど小さな手直しはしばしば精度を損ない、上へ動かす調整は下へ動かす調整より改善につながりにくかった。押し上げていたのは、歩合で報われる側だった。手を入れた自分の数字を、計算が出した数字より確かだと思わない——読めた範囲から残るのは、その一点です。
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