IN ORGANIZATIONAL FORTUNE · ISSUE 285
● 12 SEC衝撃を受けたあと、組織がどれだけ戻れるか。それを測ると称する尺度はあります。この号が見るのは尺度の中身ではなく、その言葉がどう数えられたかです。
2021年に経営学のレビュー誌23巻1号(7〜44頁)へ出た体系的レビューが数えています。分析は126本。明示的な定義を書いていたのは71本、測定尺度を提示していたのは14件。定義が無いのではありません。71あります。126から71を引いた55本は、定義を書かずにこの言葉を使っていました。
その71も一つではない。属性は22種類、最多の「適応する力」でも71のうち27(38%)、次が「対処する力」20(28%)、「作り替える力」15(21%)。どれをどう組み合わせて測ったかが書かれていない数字は、何が高いのかが決まりません。無いのは定義ではなく、合意です。
組織レジリエンス(organizational resilience)が指すのは、衝撃のあと組織が元の働きへどこまで、どの速さで戻れるか、です。
一語ほどきます。構成概念〔construct。直接は見えないものに名前を付け、記録や質問票から間接に測る対象〕。何をもってそれとするかは、測る側が決めます。
単位も先に。この号の1件は文献1本か定義1件か属性1種類か尺度1件で、組織の1つでも人の1人でもありません。全文まで読めた4本に、効果を推定した研究は1本もなく、無作為な割り付けの記述もありません(走査で確認)。抄録まで読めた2本の範囲にも、どちらもありません。

では、その数え上げはどうなっているのか。
01126本を分析して、明示的な定義は71本、測定尺度は14件。数えたのは文献で、組織ではない。データベース2つ、題名に7通りの語。個人の水準だけのものと実務向けの記事は除外。灰色文献は、いくつかのデータベースが会議録を収録している範囲でのみ含めたと原典が書きます。126本のうち14本は検索ではなく引用をたどって足したぶん(検索由来は112本)。この14本は、尺度の14件とは別の数です。126本は75の異なる雑誌に散っていました(最多は生産研究11本・労働6本・危機管理5本・経営戦略5本)。
0271の定義の属性は22種類。いちばん多い「適応する力」でも、71のうち27(38%)。71の定義を分解すると——最も多く使われている属性は、適応する力(27件、38%)、対処する力(20件、28%)、作り替える力(15件、21%)である。分母は71(27÷71=38.0%、20÷71=28.2%、15÷71=21.1%)。三つを足しても71になりません。過半の定義が、属性を二つ以上組み合わせているからです。原典は、共有された意味はこれらの属性の中にあると慎重に結論する一方、同じ段落で多様性も示されると書きます。
03尺度は14件。共通するのは多次元の高次構成概念という理解。ただし結びつきを論じた研究は少ない。実証研究は、増えてはいるものの、妥当な測定尺度という点では依然として乏しい。14件はどれも下位の要素を合成して一つの量として扱う形。同じ表には一次元の代理指標(株価の回復の速さ・生存)も並びます。表3が示すのは、ほとんどの研究者が下位の因子と全体の構成概念との結びつきを明示して論じていないこと。点数は出ます。その点数が何の点数かは、書かれていない。「ほとんど」であって「すべて」ではありません。

原典の版面は動きません。動くのは、要約されていく途中です。
01「まだ定義が無い」と読むと、定義は71あって無いのは合意だ、が落ちる。数える数も三通りある。定義はあります。2020年の論文(13巻1号215〜246頁)の抄録——レジリエンスが実際に何を意味し、どう構成されているかについては、ほとんど合意が無い。2018年の生産管理誌のレビューは、水準を上げる要素と評価の仕方には合意を見出せなかったと書きつつ、定義の三つのやり方には共通の考えがあったとも書きます。医療政策誌の体系的レビューは、おおむね困難に直面しても目的を満たし続ける仕組みの能力と受け取られていた、と。数える数も三通りで、126本、2000〜2017年の66本、34本。34本の側は選別の全段が印字されます(24,984件→題名で24,708件除外→276件→重複8件除外→268件→全文で234件除外→34件)。
02「点数が出ているなら測れている」と読むと、22種類のどれをどう組み合わせたかが落ちる。尺度は14件、定義は71。どれも下位の要素を合成する形ですが、その根拠を明示して論じた研究は少ない。22種類のうち適応する力か、対処する力か、作り替える力か——同じ言葉で呼べるので、決めておかないと話の途中で入れ替わります。医療政策誌のレビューが共通の主題に挙げるのは、レジリエンスが複雑適応系の創発的な性質だという理解——部品を測って足す作り方とは、そのままでは噛み合いません。
03「よく引かれるなら査読誌の実証」と読むと、それが会議録で、もう一本が理論論文であることが落ちる。よく引かれる2007年の文献は国際会議の会議録で、3418頁から3422頁。査読誌の論文ではありません。2020年の論文も、査読誌ではありますが、自ら命題の定式化だと書く理論論文です。その会議録は、全文まで読めた4本すべてに引かれています。査読誌ではない一本が、四本の共通の結節点になっている。引用の多さは、載った場所も、研究の型も教えてくれません。

数えられたのは組織ではなく、英語で書かれた学術文献です。126本がどの国の、どの規模の、どんな組織を扱っていたかも、手元の組織が強いか弱いかも、出てきません。時間の向きは原典が書いています——文献の大半は2001年以降に刊行されている(付録を参照)。その付録は実在し、雑誌ごとの年別の掲載本数の表です。列は1993年から2018年まで(1996・2000・2001・2004は無し)。ただし掲載誌ごとの内訳で、年ごとの総数を一本の線にした図ではありません。
独立した別々の検証でもありません。71の定義のうち1つは、2020年の理論論文の著者が2014年に書いた定義です。その論文は2021年のレビューの筆頭著者を別の論文で引き、その別の論文は2021年の二人との共著です。全文まで読めたのは6点のうち4点、抄録までが2点。読めていないものについては書きません。2021年のレビューに付く注記は所属の追記(2021年1月7日付)で、撤回は1件も出ていません。この号は、指標も格付けも渡しません。
いちばん多く使われていた言い方でさえ、
71の定義のうち27だった。
次の3手も、研究が命じた順番ではありません。自分の一行を書いたとき何が起きるかを確かめた研究はありません。判定しません。誰にも尋ねません。
TRY IT TODAY
- 01WRITE
紙かメモアプリを開き、「立ち直りが早い」と言うとき自分が何を見ているのかを一行で書く。抽象語で止めず、日数や回数で。相手の名前は書きません。
- 02COUNT
その一行に何種類の要素が入っているかを数え、数字を横に書く。1種類なら、それがあなたの定義。3種類なら、その3つが同時に動くとは限りません。
- 03CHECK
要素ごとに一行、手元の記録から確かめられるかどうかを「確かめられる」「確かめられない」で書き添える。残るのは定義と、要素の数と、可否です。
定義が71ある言葉は、気が引けない。どれか一つには当てはまるからです——この号の読み筋です。確かめたのは四つ。126本のうち明示的な定義は71本、尺度は14件、定義なしで使っていたのが55本。属性は22種類で、最多の「適応する力」でも27(38%)、次が20(28%)、15(21%)。原典は、共有された意味はある側と多様だという側の両方を書いていた。数える数そのものが126本・66本・34本と三通りで、よく引かれる一本は会議録だった。今日残せるのは判定ではありません。一行の定義と、要素の数と、可否が三つ、残るだけです。
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