IN ORGANIZATIONAL FORTUNE · ISSUE 283
● 12 SEC「良い評判は、資産である。」足元にあるのは、ある雑誌が毎年出す米国大企業の評判の順位表です。この号が見るのは中身ではなく、点数がどう作られているか。雑誌の名前も、どの企業が何位かも書きません。
出発点は1990年。米国の大企業292社を見た論文は、評判は制度的な場で競われ、経営者は際立った強みを合図として送る、と書きます。点数のもとは1985年の調査——8,000名の経営者・社外取締役・証券アナリストに評点を求め、回答率は50%。
1994年、その点数を正面から扱った論文が出ます。要旨は2文。雑誌名を伏せて引きます——……の毎年の評点は過去の財務の結果に強く影響されており、その後光は、これらの評判の尺度が他の研究で使われる前に取り除かれなければならない。後光は、一点が良いと他まで良く見えることです。
材料は1992年2月10日号の順位表。評点は1991年のもので、調査は前年の秋。財務は1988年から1991年、234社。後光指数と名づけられた財務の変数は五つ——3年平均の総資産利益率、業種と比べた市場簿価比率、売上高の対数、3年平均の売上高成長率、負債を資本で割ったリスク。
8つの属性の評点をこの指数に回帰し、残った差——五つでは説明できない部分——を後光を取り除いた評点とする。属性は一つずつ扱うため手続きは8回。合成した評点を回帰したとき、調整済みR²は.55だった。〔0から1で、1に近いほど、その五つだけで点数の並びを再現できる〕
この.55は1991年の評点・234社・8属性を合成した総合の評点の値で、点数の構成比ではありません。属性別では財務健全性が59%、革新性でさえ36%。点を付けるのは8,000名の経営幹部・取締役・市場アナリスト、回答率は約50%、回答は非公開。

順位表は業績の言い換えにすぎない——その言い切りを、次に起きたことが裏切りました。
011994年の目的は、順位表を捨てることではなかった。値切りではなく、道具の提案です。要旨の2文目は、その方法を提示し妥当性を実証する、と書いています。本文にあるのは手続き(8つの属性それぞれに8回)、大きさ(調整済みR²=.55/財務健全性59%/革新性36%)、標本(1991年の評点・財務は1988〜91年・234社)。
022002年は、評判を財務で予測される分と残りに分け、どちらも利益の持続を支持したと報告した。抄録は——総合の評判を、過去の財務の成績で予測される成分と、そこから外れた残りに分解し、その(互いに直交する)要素のそれぞれが、平均以上の利益の持続を支持することを見出した。直交する〔互いに重なりを持たない〕。読めたのは抄録までで、材料の名前も国も期間も印字されていません。
032011年は、同じ五つで1991年は0.55、2006年は0.19。1994年の明示的な追試で、独立した標本ではない。表の5列——1991年・234社で0.55、取り直した追試226社で0.53、30の業種の目印を足すと0.61、2006年の508社で0.19、62の目印で0.36。本文は2006年では64%少なく説明するとし、チャウ検定で有意な差(p<0.0001)。ただし抄録の最終文は、この一覧は残るばらつきを探る有用で妥当な資料でありつづけうる、と結びます。

「何を測っているのか」の答えは一つではありません。1994年のもう1本は、競合する測定の模型を確認的因子分析〔立てた図がデータに合うかを確かめるやり方〕で突き合わせます。データは1985年から1989年、大部分は1986年、8属性を0から10の11段階で評価したもの。二つの因子の相関は.786。
結論は、有用性は財務上の目標を追い求めていると知覚されている程度を測ることに限られる、というもの。ただし逆接が——研究者がそうした尺度を求めるのなら、この資料は良い尺度を提供する。
2000年の論文は、過去の研究が使ってきた順位表の評価を指して——これらの評価は理論的に弱い——と書き、代わりに報道のなかの評判を測って、商業銀行の業績の高さと結びつく資源だと示します(一つの都市圏の商業銀行、1988年から1992年、独立系121行、観測526)。
2005年の論文は評判を、質の高いものを作れるという知覚と、頭のなかでの際立ちに分けます。対象は米国のMBA課程を持つ経営大学院。際立ちは価格の上乗せと有意な正の関係(β=.59)〔結びつきの強さの数字〕、質の知覚のほうは明確な差のある関係が示されず。測っているとされてきたのは四通り——財務目標の追求、報道での扱われ方、質、際立ち。
01「評判が良ければ、業績が上がる」——順序が逆でありうる。ただし、順序を証明した話でもない。示されたのは、点数のほうが過去の財務の結果に強く影響されていること。点を付けるのは、その業種を担当する人たちです。順序は、この点数では切り分けられない。割り付けの実験は到達した範囲に1本もなく、順序が逆であることも証明されてはいません。
02「だから、順位表は業績の言い換えにすぎない」——2002年の分解が、それを裏切っている。言い換えにすぎないのなら、財務で説明できる分を取り除いた残りは、何も予測しなかったはずです。ところがその残りも、平均以上の利益の持続を支持しました。取り除いた分も、残りも、同じ結果を向いていた。何を測っているのかを、特定できない。
03「後光は、ばらつきの55%を占める」——55%は1991年の値で、2006年のデータでは0.19だった。出どころは1994年の論文の本文です。1991年の評点・234社の総合の評点の調整済みR²=.55。同じ五つを2006年の508社に当てると0.19。「分かっている大きさ」ではなく、「1991年の標本での大きさ」でした。この55%を2011年の論文の抄録の数字として引くことがありますが、その抄録に「55」は出てきません(現れるのは参考文献欄の443–455)。

全文まで読めたのは7本のうち6本で、2002年だけは抄録まで。読めていないものについては書きません。対象は、米国の大企業の順位表、一つの都市圏の商業銀行、米国の経営大学院。小さい商いも非営利も行政も入らず、水準は組織です。無作為な割り付けの実験は、到達した範囲に1本もありません。
これは、銘柄選びの話ではありません。後光指数の五つのうち一つは株式市場での評価から作られ、株式市場収益率は検討のうえ外されました。2002年が結びつけたのは利益の持続で、投資家の取り分ではない。買う・売るの合図に読み替えないでください。評判を上げる方法も書きません。
1991年の評点では0.55、2006年の評点では0.19。
同じ五つの財務の変数で、同じ順位表を説明した値です。
次の3手も、研究が命じた順番ではありません。測られたのは、外の人が付けた点数と過去の財務の関係だけ。評価も、点付けもしません。
TRY IT TODAY
- 01PICK
すでに公開している自分の材料——組織のページ、実績、配った資料、自分の発信——から、外の人が目にするものを三つ書き出す。**他の組織の評判は見ません。**
- 02SORT
その三つに「業績の数字」か「それ以外」の札を付ける。売上・件数・年数・人数のように数で出しているものが前者。迷ったら「どちらとも言えない」と。
- 03NOTE
「それ以外」の側の材料について、何を伝えていることになっているのかを一言ずつ書く(品質、続いた年数、扱う分野など)。残す記録は、それだけ。
1990年から2011年までの7本のうち、4本は同じ一つの年次調査の評点を材料にしています。2000年は報道のなかの評判へ、2005年は経営大学院へ移り、2002年は抄録に材料の名前が無いので数えていません。
確かめられたのは三つ。1991年の.55と、革新性でさえ36%だったこと。2006年の508社では0.19まで下がり、追試の0.53より64%少なく説明したこと。分けた両方が、利益の持続を支持したこと。「資本」という語だけが残高の含みを持ち込む——というのが、この号の読み筋です。今日残せるのは判定ではなく、材料が三つと、その札。記録が1件、残るだけ。
SECOND LAYER · FULL SYLLABUS組織レピュテーション資本を、もっと深く学ぶ。→HOW TO READ THE NUMBERS数字の読み方+
この号に出てくる統計の言葉です。数値は原典のまま、意味だけをほどいています。
- 統計的に有意
- 「偶然だけでは説明しにくい」という意味の専門用語。効果が大きい・重要だという意味ではありません。ごく小さな差でも、人数が多ければ有意になります。
- p値
- 差がないと仮定したとき、偶然でこの結果以上が出る確率の目安。小さいほど偶然では説明しにくいことを表しますが、効果の大きさは表しません。
