IN ORGANIZATIONAL FORTUNE · ISSUE 275
● 12 SEC前の調査にはいなかった会社が、その年その産業にいる会社の4割を占めていた。同じ集団を産出〔その産業で作る量〕で数え直すと、約16%です。違うのは物差しのほう。1988年の論文が、米国製造業のセンサス〔数年ごとの全数調査〕を1963・1967・1972・1977・1982年の5時点で突き合わせました。
もう一つ、よく引かれる数字。初めて観測されたセンサスの後、5年以内に61.5%、10年以内に79.6%が退出。ただし「企業」の指す先は、同じ論文が先に決めています——"we shall henceforth use the term, 'firm,' to refer to a producer in a four-digit industry"(以後「企業」の語は、4桁分類の産業における生産者を指す)。数えられたのは会社ではなく、産業ごとの生産者としての一件です。
それでも同じ論文は、その数字を「失敗率」と呼びます——"The bottom of Table 8 reports the average of the cumulative failure rates for each cohort over time."(表8の下段は、各コホートの累積失敗率の平均を報告する)。定義は「その産業からいなくなること」。たたんだのか別の産業へ移ったのかは区別されず、脚注13では、出て戻った会社が二度数えられます。
市場参入・撤退実行力が指すのは、入る決断と出る決断が実際に動いたかどうか。1988年の論文が扱ったのは米国の製造業だけ、387の4桁分類の産業(後半2期間は431産業)、各産業の出荷額の99%をカバーする企業、1963年から1982年の二十年間。表1では、企業数が最初の3つのセンサス年で約265,000社、後の2年で約295,000社。
全文まで読めたのは6点のうち5点。読めていない1点については書きません。その1点は1995年に International Journal of Industrial Organization 13巻4号へ出た総説で、抄録を取得できなかったのではなく、原典に抄録が存在しません(基盤6つを当たった範囲で記録なし)。引く二つの文は、別の2本が頁を添えて引用した形です。
5本のどれも、無作為な割り付けのある実験ではありません。全数調査の突き合わせ、単一産業の全数事例、国際比較の集計、空間の分析です。「こう動けば成績が上がる」型の結論はありません。

では、実際に数えられたのは何か。まず数えられたのは、この三つの数字です。
01企業数の40%と産出の約16%は、同じ集団に当てた別の物差し。参入率〔その年いる生産者のうち、前回はいなかったものの割合〕は、極小の企業を除いた集計で.307から.427、平均38.6%。市場シェアでは.136から.185、平均約15.8%。桁が変わるのは、入ってくる会社が小さいから。参入企業の産出は既存企業の平均の35.2%。
025年で61.5%、10年で79.6%。ただし残った側は大きくなる。引き算すると、5年後に残るのは38.5%、10年後は20.4%。同じ表は残った側も追う。1967年の参入企業の産出は産業平均の35.2%、1972年に生き残った構成員は54.3%、1982年までに127%。因果ではなく、各時点で残る企業だけを平均した数字です。
03参入は三つの型。件数でいちばん多い型が、いちばん小さい。件数では新設会社の新工場55.4%、既存会社の新工場8.5%、既存会社の製品構成変更36.1%(足すと100.0%)。相対的な大きさは順に28.4%・87.1%・34.9%。産出で数えると50.0・14.4・35.6%で順位が入れ替わり、既存会社による参入は件数44.6%・産出50.0%。

数字は動きません。動くのは要約の途中のほうです。読み違えやすいのは3か所。
01「入れ替わりの激しい産業は危ない」と読むと、率と量の別が落ちる。出るほうの数字は入るほうとよく似ます。退出率.308から.390、退出企業の平均市場シェア.144から.191、産出は非退出企業の平均の.310から.367。産業を横断すると参入率と退出率は正、t期の参入率とt+1期の退出率も正。ただし産業ごとの固定的な差を取り除くと、同じ期間の「率」は常に負、「市場シェア」は正のままと原典は並記します。率の高さは、危なさの目盛りではありません。
02「参入しやすい産業を選べばよい」と読むと、ばらつきの居場所が落ちる。部門ごとの差は大きい。2桁分類の部門内の平均参入率は、たばこの.205から計器の.603まで、二十の部門のうち十一が.4超。ところが1995年の総説は"most of the total variation in entry across industries and over time is 'within' industry variation rather than 'between' industry variation"(変動の大半は産業「間」ではなく産業「内」の変動である)。2008年の作業論文が423頁として引いた形。同じ論文が総説の「様式化された事実」を番号で整理した三つ(産業ごとの差は持続しない、等)は、引用符の外の書き直しです。
03「入ってくるのは新参者だ」と読むと、既存の会社と経験の効きが落ちる。件数44.6%・産出50.0%は既存の会社の参入です。2000年の論文は、米国のテレビ受像機の産業で1989年までに参入した177社(ハザード分析は1946年から1989年の176社)のうち約3分の1が、テレビの前にラジオを作っていました。関連する経験を持つ企業ほど早く参入し、長く生存し、市場シェアも大きかった——ただし単一産業の全数事例です。2015年の論文が424頁として引いた一文は、置き換えが若く新しい企業により厳しく作用する、という向きです。

原典が自分で書く条件が三つあります。一つ目、5年おきなので、あいだに入って出た会社は数えられず、年ごとの入れ替わりを過小評価(1963年から1967年だけは4年)。二つ目、各産業で最も小さい企業から順に、合計が産出の1%になるまでを除外(残る99%が対象)。脚注20と脚注22では、全部を含めると参入率は約10、退出率は約11パーセントポイント上がり、市場シェアは.4しか動かない。三つ目、米国の製造業だけ、1963年から1982年まで。
国際比較の集計もありますが、版に注意。読んだのは2005年の学術誌版ではなく、2003年のOECD作業論文 No.348。対象10か国(米国・ドイツ・フランス・イタリア・英国・カナダ・デンマーク・フィンランド・オランダ・ポルトガル)、期間は主に1989年から1994年、生存率の図は1990年代。参入企業の約20%(米国)から40%超(英国製造業)が最初の2年以内に失敗。越えれば次の5年を生き延びる見込みは50%から80%、それでも7年目を超えるのは約40〜50%。ハザード率〔次の期間に消える割合〕は、米国基準の2年時点で英国11.2、フィンランド13.8ポイント高い。米国は退出確率が1年目から2年目へ上がり「ハネムーン」効果のいくらかの証拠、雇用は2年で倍増、他国は80〜100%。
数えられたのは、その産業からいなくなったこと。
たたんだのか、替えたのかは、同じ列。
次の3手も、研究が命じた順番ではありません。手元で数えたとき何が起きるかを確かめた研究はありません。判定しません。良し悪しも書きません。
TRY IT TODAY
- 01COUNT
**この1年で新しく始めたことと、やめたことを、それぞれ箇条書きにする。**そして件数だけを書く。思い当たらなければ「無し・0件」で終わりでかまいません。
- 02WEIGH
一つひとつに、使った時間か金額のおおよその割合を書く。**合計が100になるようにだけ整えます。**時間か金額かは決めて変えず、思い出せない項目は「不明」として外します。
- 03COMPARE
最後に、**件数でいちばん多かった項目と、割合でいちばん大きかった項目が同じだったかを一行で書く。**記録は、一覧と件数・割合・最後の一行の4つだけです。
入る決断も出る決断も物語として語られますが、統計の側では、各年の企業数の4割、産出の1割6分、5年後には6割が消えている集団です。確かめられたのは、同じ集団に二つの物差しが立つこと、「企業」が産業ごとの生産者と定義され、出て戻れば二度数えられ、表の下段の名前が「累積失敗率」であること、そして原典が自分で書いた三つの条件です。
皮肉なのは、その6割のうちどれが失敗で、どれが乗り換えだったかを、この数え方では区別できないことです——というのが、この号の読み筋です。件数で数えれば大きな入れ替わり、量で数えれば小さな入れ替わり。どちらが正しいかを決める必要はなく、二つ並べておけば足ります。
SECOND LAYER · FULL SYLLABUS市場参入・撤退実行力を、もっと深く学ぶ。→
