IN RECRUITING · ISSUE 240
● 12 SEC採って、残って、似てくる。この循環は、たいてい「文化が自己強化される」という良い話として引かれます。この号が見るのは、40年ぶんの引用が何を確かめたか、です。
根拠に置いた資料は8点。全文まで読めたのが2点、抄録まで5点、原典に届かなかったのが1点です。出発点は1987年の論文。組織はそこに含まれる人々の種類の関数であり、人々のほうは引きつけ・選抜・淘汰という循環の関数だ、と提案するものでした。
本文全文を走査すると、番号つきの命題が7つ。2番目は、人は現実の組織に無作為に割り当てられていない、自分で組織へ入り、出ていく。データの分析ではなく、7つの提案です。「無作為な割り付け」の語は、実験室の研究を批判する側に出てきます。
引く側では良い話です。ところが原典の445から446ページは逆を向きます。組織は型として内向きになりすぎ、ますます狭い生態的地位を占めるようになりうる。そうなったとき、組織は失敗しうる。ただし条件節が付きます——組織が、含む人の種類の幅が狭まることに意識的に抗わないかぎり。
その直後に、著者自身の言葉があります——"In fact, the ASA framework is quite grim with respect to how organizations will cope with the requirement to change."(この枠組みは、組織が変化の要請にどう対処するかについて、かなり厳しい見方をしている)。走査すると、この語は全文で1か所だけ。良い話として引くときも悪い話として引くときも、落ちるのは条件節のほうです。

では、その厳しいほうが正しいのか。40年後に数え上げた論文は、そこで止まりません。
01引用6,000本超から321本、検定は77本、24%。分母は321であって6,000ではない。2026年の総覧の抄録です——"However, only 77 (24%) of those studies actually tested an aspect of the theory."(そのうち実際に理論の何らかの側面を検定したのは77本、24%にすぎなかった)〔77÷321=0.2399〕。大半の研究は、組織の水準の理論を、個人・チーム・職業という別の水準の検定に使っていた、とも。
02核心の仮説の直接検定は、この数え上げの範囲で1本。否定された、ではない。"only one published study directly tested the central hypothesis that ASA processes lead to homogeneity."(これらの過程が同質性をもたらすという中心的仮説を直接検定した公刊研究は、1本だけである)。世界に1本、ではなく、6,000本超から321本、77本と絞ったうえでの1本です。総覧は実証的支持は不均一だったと書きつつ、理論は捨てていません。
03向きも支持されていない。複数の研究は、同質性がより良い業績と関連していると見いだした。同じ抄録です。理論はこれらの過程が組織の有効性を下げると示唆するが、複数の研究は、同質性がより良い業績と関連していることを見いだした。「そう見いだした」であって「同質性は業績を高める」ではなく、だから「同質化は組織を弱くする」とも書けません。

ひとつは、「時間とともに似てくる」を検定した2018年の研究。多波・多標本・複数の性格検査を用いた分析で、組織内の同質化に最も責任があるのは選抜、組織間の異質性に最も寄与するのは引きつけ。ただし観察されたデータの分析であって、割り付けの実験ではありません。
ふたつめは規模と道具。1998年の研究は142組織の管理職12,739人を扱い、性格類型の指標に答えたのは、ある育成機関の課程にいた人たち。ただし本号が試した経路では、その研究そのものに届いていません。読めたのは、それを引用した2004年の学会報告の一文だけです。2005年の研究は32組織の経営者と従業員467人で、著者ら自身が所見を「初期の実証的支持」と書いています。
01「この循環で、文化は良い方向に自己強化される」——原典の同じ頁は逆を向く。ただし条件節が付く。同じ頁に並ぶのは、内向きになりすぎること、狭い地位、失敗しうること。ただし条件節は「意識的に抗わないかぎり」で、「必ずそうなる」ではありません。そこを落とすと、どちら側へ引いても原典より強い文になります。
02「では、同質化は組織を弱くするのだ」——それも支持されていない。総覧は、理論の一部は支持されなかった、と書きます。しかも、この号が到達した範囲に、組織を無作為に割り付けて同質性を操作した研究は1つもありません。書けるのは、どちらの向きも直接には確かめられていない、まで。
03「引用が6,000本を超えているのだから、よく確かめられた枠組みだ」——引用の数は、確かめられた数ではない。引用6,000本超、根拠に使ったのが321本、検定が77本で、これが321本の24%。核心の直接検定は1本。24%の分母は321です。6,000ではありません。確かめられた回数は、別に数えないと出てきません。

全文まで読めたのが2点、抄録まで読めたのが5点、届かなかったのが1点。2点足す5点足す1点で、8点です。届かなかった1点は1998年の研究です。出版社の抄録頁は空の画面で、書誌データベースが「抄録」として返す文章も、この研究のものではありませんでした。
対象の国は、到達した抄録の範囲には1つも書かれていません。6本を国名で走査して0件。分かるのは1998年の研究だけで、それも引用した側の一文(その標本は、米国の事業体の広い範囲にわたっていた)によります。水準はいずれも組織。そして、いずれも「いま在籍している人」を測っていて、去った人は標本に入っていません。
77本は、321本の24%です。
24%の分母は、6,000ではありません。
測るほうにも幅があります。2005年のメタ分析によれば、同じ人の業績評価のテスト・再テスト信頼性〔二回の測定の一致の度合いを0から1で表した数字〕は、低複雑度の職務の主観的指標の .83 から、高複雑度の職務の客観的指標の .50 まで。1年の時差での安定性は .85 から .67。間隔が長いほど相関は低下し、推定値はゼロより大きい値へ近づいた、とも。幅のまま置きます。
採用時点で見た項目と、何年か後の働きぶりの関連が弱く見えるとき、理由は採用の側だけとは限りません——的そのものが揺れている、というのがこの号の読み筋です。次の3手は、研究結果ではなく、ALIFEが提案する実践の入口です。
TRY IT TODAY
- 01PICK
公開されている求人票を1件選ぶ。「求める人物像」などの欄の項目を、5つまで書き写す。**特定の会社名や団体名は書き写しません。**
- 02SORT
その5つに、「入社前に確かめられる」「入社前には確かめられない」「分からない」のどれか1つの札を付ける。年数や資格は前者、「主体性がある」は後者。**どちらが良いという話ではありません。**
- 03COUNT
「入社前には確かめられない」が何個かを、5つのうち何個、という形で書く。誰にも見せず、提出もしません。
1987年の提案、1995年の総覧、1998年の検定——この3本には、同じ研究者が関わっています。独立した3つの検証ではありません。1995年の総覧は、時間とともに組織が相対的に同質になるという中心的な命題を、間接的および直接的な証拠の両方が支持する、と書いていました。自ら「直接的な証拠」と書いた側と、30年後に外から数えた「1本」の差です。2005年の追試も、1987年の枠組みの想定の検証だと抄録に明記しています。
この号で確かめられたのは、こうです。1987年の論文が7つの命題の提案で、445から446ページに「組織は失敗しうる」「かなり厳しい見方」、その直前に条件節が置かれていたこと。2026年の総覧が、引用6,000本超から321本、77本(321本の24%)と絞り込み、核心の直接検定を1本と数えたこと。同じ抄録が、理論の一部は支持されなかったと書きながら、"we believe it still has the potential to help understand organizations and the people that make them."(依然として組織を理解する助けとなる可能性を持つ、と我々は考える)と結んでいたこと。引用の数は、確かめられた数ではありません。
SECOND LAYER · FULL SYLLABUS組織人材PMF深化力を、もっと深く学ぶ。→HOW TO READ THE NUMBERS数字の読み方+
この号に出てくる統計の言葉です。数値は原典のまま、意味だけをほどいています。
- メタ分析
- 同じテーマの研究をたくさん集めて統合し、平均的な効き目を推定する方法。1本の研究より安定しますが、集めた研究の質と偏りに左右されます。

