IN BUSINESS PROCESS · ISSUE 209

(仮ビジュアル)ベージュの空間で、黒い石の細長い天板を、灰青のガラス・銀の金属・赤い漆という3本の異なる脚がそれぞれ支えているコンソールテーブル● 12 SEC
Visual: ALIFE Editorial

「標準化された組織は、生産性が20〜30%高い。」「認証を取れば、品質のコストが15%下がる。」この号が見るのは手順の書き方ではなく、その数字の出どころです。

20〜30%の出どころとされるのは、あるコンサルティング会社が2024年10月に公開した記事。査読誌ではなく、2023年の自社調査2件——従業員1,000人(数百の組織)と、15の組織の1,225人——をまとめたものです。

本文19,628字に、標準化にあたる語は0件。生産性の数字はありました——"…can increase productivity by 25 percent or more, largely thanks to innovation."(生産性を25%以上高めることができる。主に技術革新のおかげである)。帰属先は素早い実験と継続的な改善で、標準化ではありません。この一文には、出典の注が付いていません。

もう一つの15%。出どころとされるのは、品質についての国際的な団体が公開している調査の一覧です。載っているのは11件、そのなかに認証の有無で品質のコストを比べた調査は1件もなく、走査してもヒットは0件。末尾に「特定のテーマの調査は報道発表で公開している」とあり、その先は追っていません。

残る二か所。査読誌の書誌データベースは、四つの基盤を引いた範囲でこの主張をする研究が上位に出ず、一般の検索エンジンは当たれていません。「存在しない」ではなく、「行き着けなかった」までです。

開けたほうの記事に、20%と50%という数の組は実在します。ある素材の会社が三年間で費用を20%削減し、産出は50%以上増えた——名前を伏せられた一社の例で、標準化の数字ではありません。流通しはじめると、何と比べた数字かは一緒には運ばれません。

(仮ビジュアル)夜の高層階の窓辺に立ち、暗いガラスに自分の姿を映しながら街の明かりのほうを見ている、黒いスーツの女性
出どころとされた記事の本文19,628字に、標準化にあたる語は0件。生産性25%以上は、素早い実験と継続的な改善に帰属していた。 Visual: ALIFE

数字を否定して終わりにすると、話はここで止まります。代わりに、査読のある雑誌で測られていたものを並べます。測られていたのは、入れたかどうかではなく、使ったかどうかでした。

012005年の調査。優位が付いたのは、入れる段ではなく使う段。国際的な品質マネジメント規格の導入を、入れる段と使う段の二つに分けた調査です。標本は品質責任者1,150人・924組織の質問票。約3分の1には財務データベースの縦断情報を、未認証企業の対照群を四通り突き合わせています。"…achieved a distinct operating advantage from this replicable standard when they used it in daily practice and as a catalyst for change."(優位を得たのは、日々の実務で使い、変化の触媒として使ったとき)。四通りはマッチングで、無作為な割り付けではありません。

022002年の研究。2産業・20年で動いたのは、発明の取り分だった。塗料と写真の二つの産業、20年の縦断。材料は特許の出願活動と品質規格の認証で、認証はプロセス管理の程度を測る代わりの目印です。その程度は、深化的な発明の増加と、発明全体に占める深化の取り分の増加の両方に関連していた——"Our results suggest that exploitation crowds out exploration."(深化が探索を押し出すことを示唆する)。到達した三種類の抄録に、国名はありません。

031996年は概念の整理。実証で近いのは1工場・2回の事例研究。1996年の論考は、手順を文字にすることを「習得を可能にする型」と「服従を強いる型」に分けました。ただし「と我々は論じる」で、効果は測っていません。実証で近いのは1999年の事例研究——米国カリフォルニア州の自動車の組立工場(抄録の言い方では子会社)の、2回のモデルチェンジ。"…relied on a highly bureaucratic organization to achieve its high efficiency."(その高い効率を達成するのに、きわめて官僚的な組織に依拠していた)。挙がった仕組みは四つ、標本は1工場・2回だけです。

(仮ビジュアル)暗い背景の石の台に、白い発酵乳の瓶と、切り漬けを詰めた低いグラスと、琥珀色の発酵茶が入った細長い容器が、三つ横に並んでいる静物写真
使う段でだけ付いた優位・2産業20年で動いた発明の取り分・1工場2回の切り替え。まず測られたのは、この三つ。 Visual: ALIFE

もう一本。上の2002年と同じ二人が、2003年にその実証を理論へ広げています——"…process management activities are beneficial for organizations in stable contexts, they are fundamentally inconsistent with all but incremental innovation and change. But dynamic capabilities are rooted in both exploitative and exploratory activities."(安定した文脈の組織には有益だが、漸進的な革新と変化を除くすべてと根本的に整合しない。しかし動的な能力は、深化と探索の両方に根ざしている)。ただし理論で、抄録にデータも標本も検定もありません。2002年と2003年は、独立した二つの証拠ではありません。1996年と1999年にも、同じ著者が一人ずつ入っています。

01「標準化すれば生産性が20〜30%上がる」——出どころに行き着けなかった。当たれたのは四か所のうち二か所。開けた二つの資料に、この数字も、この数字を出した比較も印字されていませんでした。だから「存在しない」ではなく、「行き着けなかった」までです。そこにあった生産性25%以上の帰属先は、標準化ではありませんでした。

02「入れれば、その分だけ成果が出る」——優位は使った段だけに付いた。入れる段が要らない話ではありません。原典は入れる段を導入に必要だったと書き、優位を得たのは使った段だと続けます。そして終わりません——"…led to improved operating performance, but that this outcome did not necessarily or automatically yield better business performance."(操業の成績の改善につながったが、この結果は必ずしも自動的に、より良い事業の業績をもたらしたわけではなかった)。認証の件数を数えても、この分岐は見えません。読めたのは抄録までで、水準は組織です。

03「整えるほど良くなる」——測られたのは良し悪しではなく、取り分の移動。「押し出す」は著者らの結論の語で、無作為な割り付けのある実験から出た語ではありません。限定は三つ——塗料と写真の二産業・20年、認証は程度を測る代わりの目印、抄録に国名は無い。「整えるほど悪くなる」でもありません。同じ二人の2003年は、安定した文脈では有益だとも書いています。

(仮ビジュアル)縦に3分割された写真。左は乱れた寝具のベッド、中央は窓の外へ目を向ける女性、右は玄関の床に脱ぎ置かれたコートと鍵
出どころに行き着けない・優位が付くのは使った段・外では取り分が動く。取り違えるのは、この三か所。 Visual: ALIFE

全文まで読めたのは7点のうち2点——査読誌ではない公開資料のほうで、査読のある5本はどれも抄録までです。5つの抄録を「無作為」「実験」「対照群」にあたる語で走査してもヒットは0件——無作為に割り付けた実験は、到達した範囲に1本もありません。どちらが先かは切り分けられません。

対象は塗料と写真の二つの産業、質問票に答えた924の組織、自動車の組立工場が1か所。水準はすべて産業か組織か工場で、そこで働く人ひとりの成績ではありません。答えられるのは、その時点でまだ在る組織だけ——やめた改善も、消えた手順も、はじめから入っていません。

優位が出たのは、入れた段ではなく、使った段でした。
そして操業が改善しても、事業の業績が良くなるとはかぎりませんでした。

次の3手も、研究が命じた順番ではありません。手順の在りかを三つ書き分けたとき何が起きるかを測った研究は、この号にはありません。直しません。作りません。評価もしません。

TRY IT TODAY

  1. 01PICK

    今週2回以上くり返した作業を三つ書き出す。仕事のものでなくてかまいません——家事でも、学習でも、調べものでも。

  2. 02MARK

    その三つに、**手順が文字になっているか、頭の中にあるだけか**の印を付ける。書き直したり、新しく作ったりはしません。迷ったら「どちらとも言えない」で先へ。

  3. 03LOOK

    三行を見返して、印がどちらに寄ったかを1行だけ書く。残すのは作業が三つと、その印と、この1行だけ。良し悪しの判定は書きません。

5分。採点はありません。誰にも尋ねず、提出もしません。**勤め先のやり方や、誰かの仕事ぶりを判定する課題ではありません。**手順が頭の中にあることは、能力の話でもありません。仕事のことが頭から離れず眠れないというときは、この課題より先に、信頼できる相談先や専門家へ。

年代順に見ると、概念の整理から、1工場の事例へ、2産業・20年の縦断へ、理論へ、そして1,150人・924組織の質問票へ。入れ替わったのは、測られる対象のほうです。流通する数字は、その間ほとんど動いていません。

確かめられたのは三つ。記事の19,628字に標準化の語が0件で、生産性25%以上は素早い実験と継続的な改善に帰属し、注も無かったこと。もう一方の一覧11件に、認証の有無で品質のコストを比べた調査が0件だったこと。優位が付いたのは使った段で、操業の改善が事業の業績を自動的にもたらしたとは書かれていないこと。出どころの無い数字が生き延びるのは、何と比べた数字かを訊かれないからだ——というのが、この号の読み筋です。今日残せるのは、作業が三つと、その印と、1行です。

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本コンテンツは学習目的であり、診断や治療の代替ではありません。