IN FRIENDSHIP · ISSUE 102
● 12 SEC気の合う友人ができると、長い時間が二人を似せていったのだと思いたくなります。この順番を、実際に測りに行った研究があります。2017年の一連の野外研究は、街やキャンパスで一緒にいるペアをその場で捕まえ、それぞれに答えてもらいました。11の独立した標本・合計1,523組。性格特性・態度・価値観・余暇の活動・飲酒と薬物の使用を比べると——測定した変数の86%で、ペア内の類似が統計的に有意でした。
ここまでなら「やはり友達は似ている」で終わります。同じ論文には続きがあり、近さ・関係の長さ・話し合った量には、類似との関係が見られませんでした。扱うのは、相性のいい相手の見分け方ではなく、似ている度合いが、誰の、どの分母で測られたかのほうです。
適合性・相補性の評価力(Compatibility)は、相手を採点する力ではなく、この相手と自分がどれだけ似ているか/違っているかを見積もる話です。向かい合う二つの見方があります——似ている相手と結びつくという適合性と、正反対に惹かれるという相補性。似た者どうしが結びつく傾向には同類性(ホモフィリー)という名前があり、2001年の総説が出発点です。ただしこの号がたどれたのは、その総説の書誌情報までです。順位も内訳の数字も扱いません。

では、その似ている度合いはどこまで測られているのか。まず測られたのは、この3つです。
01有意だったのは、変数の86%。2017年の野外研究は、11標本・合計1,523組を一緒にいるところで捕まえ、測定した変数の86%で類似が有意でした。86%は似ていたペアの割合ではなく、有意な類似が出た変数の割合です。選択か影響かを分ける検定では、近さ・関係の長さ・話し合いに効果は見られず、親密さにはごく穏やかな効果、ともに重視していることには確かな効果。著者らはニッチ構築(自分に合う環境を選び取ること)と整合的だと述べます——影響が無いと証明されたのではありません。
02行動から測ると、友人にも出た。幅広い属性では似ていても、性格の類似はほとんど検出されてきませんでした。2017年の別の研究は、理由を参照群効果に見ます——人は自分の周りの誰かと比べて答えるため、似た環境の二人ほど数字の上では似なくなる。行動にもとづく2つの性格測定で迂回すると、恋愛関係のパートナー1,101組で r=.20〜.47、友人46,483組で r=.12〜.31(r は0なら関係なし、1に近いほど強く同じ向き、マイナスなら逆向き)。別々に報告された数字で、友人のほうが小さい値です。
03パートナーでは、正の側に寄っていた。2023年の研究は、22形質のメタ分析で199本の査読論文から480のパートナー相関を統合しました。統合値は外向性の rmeta=0.08 から政治的価値観の rmeta=0.58 までで、いちばん低い値でも0を上回ります。英国バイオバンクの最大79,074組・133形質では、クロノタイプの rUKB=-0.18 から生年の rUKB=0.87 まで——負の相関が無いわけではありません(rmeta は統合した相関、rUKB は英国バイオバンクでの相関)。測ったのはパートナーであって友人ではなく、異質性の高い形質も多い=199本が一様だった意味ではありません。

数字そのものは動きません。動くのは、引かれていく途中のほうです。手がかりは3つ。
01時間が似せた、と読んでいる。86%を「長く一緒にいたから似た」の証拠として読む型です。検定されたのはそこで、近さ・関係の長さ・話し合いに、類似への効果は見られませんでした。とはいえ、効果が見られなかったことは、関係が二人を似せることは無いと証明したことではありません。同じ検定で、親密さと「ともに重視していること」には効果が出ています。追跡2研究では、会話したペア全体は偶然の水準より似ておらず、似ていたのは初回を超えて関わり続けた23%のペア(分母は追跡2研究のペアで、1,523組ではありません)。
02相性を、人柄だけの話にしている。「合う人がいない」は、好みの話として語られます。2019年の研究は環境の変数を入れました。米韓の1,603組で、関係流動性——関係を作ったり終えたりする自由度——を調べています。全体では流動性と類似は正の相関でしたが、国の内側では負の相関——符号が逆です。入りやすさと出やすさに分けると、入りやすいほど類似の重要度は高く、出やすいほど低い。自由に終われるという信念を高める実験でも、重要度は下がりました。動いたのは類似をどれだけ重視するかで、実際にできた友人の似方ではありません。出口の近さの話かもしれない——というのが、この号の読み筋です。
03パートナーの数字を、友人へ移している。「正反対は惹かれ合わない」は、いまパートナーの数字で引かれます。22形質・199研究・480相関の対象は共同養育者・婚約・既婚・同居のペア、英国バイオバンクは最大79,074組の男女です。どちらも友人ではありません。友人について報告されているのは r=.12〜.31(46,483組)で、同じ論文の恋愛 r=.20〜.47(1,101組)より小さい値。パートナーの結論を友人へ移すのは、分母の乗り換えです。実際に似ていることと、似ていると感じられていることも別の変数ですが、その2008年のメタ分析も、たどれたのは書誌情報までです。

六つを並べても、言えることの形は変わりません。測られたのは、ペアのあいだの類似度と、それをどれだけ重視するかだけです。どれも、あなたと目の前の相手が合うかどうかは教えてくれません。平均は、平均が計算された集団の話だからです。
1,523組は米国の街とキャンパス、追跡2研究は大講義の学生、1,603組は米国と韓国、最大79,074組は英国バイオバンクの男女、統合された199本はパートナーのペアです。多くは大学の構内で捕まえたペアで、母集団が細く絞られた場所の類似度が街全体の値になる保証はありません。質問紙の値と行動から推定した値も混在します。6点のうち2点は書誌情報までしかたどれておらず、読めていないものについては書きません。日本で同じ手続きをやり直した記録は、たどった範囲に1件もありません。選択肢の多い環境ほど細かく選べる、という逆向きも排除できません。
近さも、関係の長さも、話し合った量も、
類似への効果は見られなかった——11標本・1,523組。
次の3手も、研究が命じた順番ではありません。出会う場所の種類を増やすと顔ぶれが変わると確かめた研究は、扱っていません。測られてきたのが「誰と似ているか」であって「どこから引いてきたか」ではない、という一点から、ALIFEが提案する入口です。
TRY IT TODAY
- 01LIST
この1年で新しく話すようになった相手を5人挙げ、紙に書く。名前は呼び名やイニシャルでかまわない。
- 02PLACE
それぞれの横に、出会った場所を1つだけ書く。職場、習い事、子どもの学校、オンラインの特定の場など、具体的に。
- 03COUNT
5人が何種類の場所に分かれているかを数える。その下に一行、次の1か月で新しく足せる場所の候補を1つ書く。
適合性・相補性の評価力は、採点の技術につけられた名前ではありません。確かめられたのは四つ。1,523組で、測定した変数の86%に有意な類似があったこと。近さ・関係の長さ・話し合いには効果が見られず、親密さと「ともに重視していること」には効果が出たこと。似ていたのは、関わり続けた23%のペアだったこと。行動から測ると友人46,483組と恋愛1,101組で別々の値が出たこと。正反対が惹かれ合うとも、似ていれば続くとも、研究は約束していません。——今日残せるのは、5人の名前と、5つの場所と、その種類の数です。
SECOND LAYER · FULL SYLLABUS適合性・相補性の評価力を、もっと深く学ぶ。→HOW TO READ THE NUMBERS数字の読み方+
この号に出てくる統計の言葉です。数値は原典のまま、意味だけをほどいています。
- 相関係数 r
- 2つのものが連動する強さ。−1〜+1で、0は関連なし。一般的な目安では ±.10=弱い、±.30=中くらい、±.50=強い関連とされます。関連があっても、原因と結果の関係とは限りません。
- メタ分析
- 同じテーマの研究をたくさん集めて統合し、平均的な効き目を推定する方法。1本の研究より安定しますが、集めた研究の質と偏りに左右されます。
- 統計的に有意
- 「偶然だけでは説明しにくい」という意味の専門用語。効果が大きい・重要だという意味ではありません。ごく小さな差でも、人数が多ければ有意になります。