IN EMPLOYMENT · ISSUE 083

(仮ビジュアル)ベージュの壁の前で、黒い石の細い天板を、青いガラス・銀の金属・赤い漆という三つの異なる脚がそれぞれ支えている彫刻的なコンソールテーブル● 12 SEC
Visual: ALIFE Editorial

性格を4文字の型で名乗るのは、便利です。ただし型という考え方は、二度測っても同じ型が出ることを前提にしています。2005年に出た総説は、公表資料を読み直し、再検査の結果を並べました。4週間の間隔をあけると35%が別の4文字型になり、5週間では50%が別の分類を受けた——というのが、この総説の報告する範囲です。二人に一人。

この号が扱うのは、自分を知る方法ではありません。型が、どこまで測られてきたかのほうです。適性検査で、傾向の名前が並んだ紙を渡された人もいます。無い人も、読者から外れません。紙に書かれているのは、あなたがその日そう答えた、という記録です。そこから先に何が言えるのかを、確かめた範囲だけで置いていきます。

性格・傾向の自己認識(Personality Awareness)は、自分の振る舞いの傾向を、どこまで確かめられた形で言えるかという話です。測り方の流儀は二つ。類型は人をいくつかの型に割り当て、どの型に入るかで語る。次元は特性を連続した目盛りの上の位置として測り、高い低いで語る。この号の数字は、この分かれ目をめぐります。

(仮ビジュアル)夕暮れの大きなガラス壁ぎわに、黒い長袖と黒いパンツで裸足のまま立ち、海と岩場のほうへ目を向けている女性。ガラスにその姿が薄く映り込んでいる写真
型に畳むか、目盛りのまま置くか。測られてきたのは、その分かれ目のほう。 Visual: ALIFE

「性格タイプが分かれば向いている仕事が分かる」という言い方は広く配られてきましたが、材料になった研究を並べると、話は分類の手前で止まります。まず測られたのは、この3つです。

014週間で35%、5週間で50%が別の分類。2005年の総説は、公表資料を読み直したもので、新しい実験ではありません。再検査は4週間で35%が別の4文字型、5週間では50%が別の分類。同じ総説は、選抜の判断に用いることを推奨できるデータは存在しないとも書きます。枠組みの否定ではなく、判断に使う根拠がまだ無い、という書き方。間隔は4週間と5週間で、それより長い期間のことは言えません。

02型の前提である二つの山が、観測されていない。型に分けるには、得点が二つの山に割れている必要があります。同じ2005年の総説は、この二峰性は本質的な特徴のはずだが顕著に欠けていると報告しました。ただし2002年の再解析は、1万人を超える指導者育成プログラム参加者のデータを項目反応理論で扱い、以前の二峰性が数値積分の分点の既定設定から生じた見かけだと示しています。設定を変えても得点どうしの相関は .996 を上回り——1に近いほど同じ順に並ぶ——実務上の帰結は小さいとも同じ研究が書きます。結論は推定の設定に依存します。

03183論文・317の知見で、次元が5対1。2020年のメタ分析は、個人差が類型的か次元的かを判定する手法の研究から、183論文の317の知見を検討しました。次元モデルを支持する知見が、類型モデルを支持する知見を5対1で上回った。17の構成領域に系統的な違いはありましたが、類型モデルが総体として支持された領域は一つもありません。比較適合の指標を用いた研究は、用いない研究より4.88倍、次元的な知見を生みやすかったとも。これは統合した結果で、317の知見が一様だったという意味ではありません。

(仮ビジュアル)夜の高層階の窓辺に立ち、暗い上着姿で外の街明かりを見ている女性。ガラスにその横顔が薄く映り込んでいる
再検査の入れ替わり、山の数、317の知見。まず測られたのは、この3つ。 Visual: ALIFE

ここまでを「型は当てにならない、次元なら当たる」と読むと、次の数字で足をすくわれます。手がかりは3つ。

01補正前と補正後を、同じ数字だと思っている。1991年のメタ分析は、5つの次元と職務成果の関係を集計。よく引かれるのは誠実性の「最強の予測因子(.23)」。基準の種類ごとに集計した表では、職務遂行が92の相関・のべ12,893人で、観測 r = .13、補正後 ρ = .23(r は0なら関連なし、1に近いほど強い関連。目安では ±.10 が弱い関連。ρ は誤差や標本の偏りを見込んで推定し直した値)。訓練の遂行は17の相関・3,585人で .13/.23、人事データは32の相関・6,175人で .11/.20。「.23」は補正後の値で、観測値ではありません。区別せずに引くと、同じ研究から倍近く違う数字が流通します。職業のカテゴリごとの別表と取り違えられがちですが、ここは基準の種類ごとの表の値です。

021本のメタ分析を、決着だと思っている。2000年の論文は、先行するメタ分析の構成概念妥当性を問題にします。5つの次元を明示的に測った尺度から得られたのではないデータが、多く含まれていたと。明示的な尺度に限って推定し直すと、課題遂行の結果は先行と平行し、文脈的な成果ではより細かい関係が示された、と。本号がたどれたのは抄録までで、係数の具体値は使っていません。1本で決まるのではなく、測り方をめぐる指摘のたびに集計はやり直されています。

03型が動かないなら、性格も動かないと思っている。2006年のメタ分析は92の縦断標本を集め、生涯の平均的な変化を並べます。20歳から40歳で社会的な主導性・誠実性・情緒の安定性が上がる。活力と経験への開放性は青年期に上がって後年に下がり、協調性は老年期を除いてほぼ動かず、変化が確認されたのは老年期。6つの特性区分のうち4つで発達的変化が確認されています。ただしこれは標本の平均で、あなた個人がこの通りに動くと示したものではありません。数週間で入れ替わるのは分類、数十年で動くのは平均としての特性です。

(仮ビジュアル)縦三分割の帯状の写真。左は薄暗い寝室の乱れた寝具、中央は窓辺で外を見ている女性の横顔、右は玄関の床に脱ぎ置かれた上着と鍵
補正前と補正後を混ぜる・1本を決着と読む・平均の変化を自分の予定表と読む。 Visual: ALIFE

六つを並べても、矛盾はしていません。数週間で3割から5割の分類が入れ替わり、それが起きるのは、山が一つしかない分布に引いた線のそばです。それでも次元で測り直せば、観測された相関は .13。当たらないから型をやめる話ではなく、どちらの測り方でも、そこから行き先を決められるほどの大きさは出ていない、という話です。引いた研究は、米国と欧州の、すでに働いている人か大学生が中心。日本の労働市場を対象にした査読研究はごく少なく、質問紙の場面と実際の選考は別物で、再検査の間隔も数週間。選択肢の多い人ほど新しい方法を試せる、という逆向きも排除できません。

当たれば「やはりこの型だ」、外れれば「今日は例外」。
——例外を数えはじめると話が変わる、というのがこの号の読み筋。

だから次の3手も、研究が命じた順番ではありません。例外を数えると自己認識が正確になる、と確かめた研究を、この号では扱っていません。測られたのは、分類が入れ替わる割合と、分布の形と、相関の大きさまで。ここからはALIFEが提案する実践の入口です。数字が1つ書ければ足ります。

TRY IT TODAY

  1. 01PICK

    今日の自分の行動で「自分はいつもこうだ」と思ったものを、1つだけ書く。先に確認してしまう、頼まれると断れない、一人で進めたがる——など。

  2. 02COUNT

    直近1週間を思い出し、そうでなかった場面が何回あったかを数えて、数字で書く。0回でもよい。思い出せる範囲でかまわない。

  3. 03KEEP

    性格の名前も、型の名前も書かない。書くのは場面と回数だけ。書けたら、そこで終わりにする。

5分。**採点はありません。**正確さより、数えたという事実のほうが中身です。例外が0回だった日も、そのまま書きます。誰かに確認を取りに行く課題でも、人を型で評価する課題でもありません。書いたものは人目に触れない場所へ置き、読み終えたら処分を。つらくなったら中止し、つらさが続く・強まる場合は、医療・支援の専門家へ相談してください。

性格・傾向の自己認識は、自分を言い当てる技術の名前ではありません。確かめられたのは四つ。2005年の総説の再検査で、4週間35%・5週間50%が別の分類。二つの山は観測されず、以前の報告は推定の既定設定から生じた見かけだと2002年の再解析。183論文・317の知見で次元支持が類型支持を5対1、類型が優位だった領域は0。測り直しても、誠実性と職務遂行の観測された相関は .13、補正後で .23。向いている仕事が分かるとも、自分が分かるとも、ここまでの研究は約束していません。今日残るのは「いつもこうだ」の一行と、そうでなかった場面の回数だけです。

SECOND LAYER · FULL SYLLABUS性格・傾向の自己認識を、もっと深く学ぶ。→
HOW TO READ THE NUMBERS数字の読み方

この号に出てくる統計の言葉です。数値は原典のまま、意味だけをほどいています。

相関係数 r
2つのものが連動する強さ。−1〜+1で、0は関連なし。一般的な目安では ±.10=弱い、±.30=中くらい、±.50=強い関連とされます。関連があっても、原因と結果の関係とは限りません。
メタ分析
同じテーマの研究をたくさん集めて統合し、平均的な効き目を推定する方法。1本の研究より安定しますが、集めた研究の質と偏りに左右されます。

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本コンテンツは学習目的であり、診断や治療の代替ではありません。