IN LEARNING & GROWTH · ISSUE 206
● 12 SECうまくいかないときの直し方は、2つに分けて語られてきました。やり方だけを調整するシングルループと、目標や前提を問い直すダブルループ。よく挙がる1978年の共著書は書籍で、査読誌の原典は1976年の論文です。
この2つのあとに、3本目の輪が足されました。トリプルループ学習。2012年の批判的レビューが、その出どころをさかのぼっています。やったのは、索引を引くこと。抄録の逐語は "we establish that the term does not arise in their published work."(この語は彼らの刊行された仕事には現れない、と私たちは確かめた)。
探した場所も書きます。名前が挙がるのは1974年・1978年・1996年の共著、1991年・1999年・2004年の単著、1983年・1987年の単著の8点。書けるのは、その8点を当たった範囲で見当たらなかった、まで。最も早い用例は1992年の書籍で、前年の文献にあるのは綴りの揺れではなく treble(3倍の)という別の英単語です。
1976年の論文にあるのは、政治学の文献における意思決定研究の検討と、2つのモデルの提案です。学習は「誤りの発見と修正」と定義されます。新しい測定の報告ではない——というのが、この号の読み筋です。
「約300回」の位置も確かめます。政府部門と民間部門での、およそ300回の政策決定・意思決定の場面。1976年の論文が集めた記録ではなく、同じ著者の1969年の研究への言及です。単位は「回(場面)」で、人数でも組織数でもない。
この語の隣にはいつも、学習を階層で語り学習IIや学習IIIを示した人類学者の論文集が置かれます。これも書籍で、引かれる版は1972年と1973年に割れています。その概念の来歴は2003年の論文が整理しますが、到達は抄録まで。広まりとともに元の意味と重みが減じられた、とあります。

実際に確かめられたのは、何なのか。まず確かめたのは、この3本の文献です。
012012年のレビューが確かめたのは、8点に用例が無いことと、実証が2本だけであること。3人の著者による文献研究で、新しい実験も調査もしていません。実証の側の逐語は "only two of these sources incorporate empirical work … and even then it is minimal."(トリプルループ学習に関わるデータを伴う実証を含むのは2本だけで、それすらも最小限である)。文献の追跡であって、深さを測ってはいません。
021976年の査読誌論文は枠組みの提示で、約300回は1969年の研究への言及。意思決定の研究に学習とフィードバックの役割が抜けていると論じ、2つのモデルを置いた論文。新しく集めた記録の分析はありません。約300回は、同じ著者の7年前の研究のもの。成果を比べた検証ではなく、無作為な割り付けもありません。
032004年のレビューが数えたのは本数。123本のうち実証は55本で、結論は「著しく増えた」。文献データベースの検索で707本(1990年から2002年。1990年は4本、2002年は98本)。年あたり平均2回以上の被引用で95本に絞り、2000年から2002年の主要誌から28本を足して精読は123本。逐語は "Of the total of 123 papers, eight were review papers, 60 were theory papers and 55 were empirical papers."(123本のうち8本がレビュー、60本が理論、55本が実証)。123は総本数、実証は55本です。うち37本(67%)が組織を単位、13本が集団や複数の水準、5本が個人。手法は43本(78%)が量的、10本が質的、2本が両方。結論として、実証研究の目覚ましい成長を認める、と書かれています。

3本を並べたうえで、形の変わる場所を3つに分けます。
01ループの数を、深さの目盛りとして読む。3が2より深いという順序を、測られた何かだと読むところ。2012年のレビューは抄録で "we caution against the uncritical preference for ‘higher levels’ of learning"(「より高い水準」の学習への無批判な選好に警告する)と書きます。挙げられた学習IIIの性質は道具的でない・言葉の外・再帰的・危険を伴うの4つ。多くの状況では変容より学習0や学習Iが要るかもしれない、とも——著者らの推測として。
023本目の輪を、1978年の共著者たちが足したものとして読む。2003年の論文は「1991年の単著がトリプルループ学習も提唱した」と書きます。その1991年の単著は、索引まで当たった8点の1つです。帰属は割れ、1998年の論文はデュテロ学習との同一視、2004年の論文は1982年・1974年・1978年、1996年の論文は1992年の書籍。いずれにも到達しておらず、2012年のレビューが引いた形です。脚注はさらに、1959年の「第三次の学習」がトリプルループ学習の構想に30年以上、ダブルループ学習の最も早い議論にも先立つと書きます。
03前提を問い直せば、答えのほうも正しくなると読む。問い直しの有無と、答えの正しさは別です。2004年の別の論文は、ダブルループ学習の過程が生み出す知識はどこまで信頼できるのか、と疑いを立てました。到達は抄録まで。そこにあるのは、この過程がしばしば誤りを生みうること、効果的な組織学習は通常の処方以上の負担を個人が引き受けることに依存すること、の2点。内部の論証には到達していません。

引いた6本はすべて文献のレビューや引用にもとづく集計で、新しい実験や調査の報告は1本もありません。数えられたのは語の出どころと本数(707本から123本、うち実証55本)、測られていないのはループの数と深さの対応です。それでも「存在しない」とは書きません。書けるのは、この6本の範囲では、まで。
全文まで読めたのは6点のうち3点。読めていないものについては書きません。本文まで読めた3本を「Japan」で走査した範囲に、日本の組織や日本語の文献への言及はありません。残る3本は抄録までで、本文は確認していません。
標本の偏りは2004年のレビュー自身が書いています——最も引用された論文は北米の雑誌に偏り、北米以外の雑誌の研究は過小に代表されている、と。出どころも重なります。2012年のレビューは2004年と2005年の論文も引き、著者の重なりも含めて、6本のうち4本が1本のレビューでつながっています。
索引を引いた3人が確かめたのは、語の出どころだった。
深さのほうは、この6本では測られていない。
次の3手も、研究が命じた順番ではありません。2行を書き分けたとき何が起きるかを確かめた研究は、この号では扱っていません。判定はしません。名前も付けません。
TRY IT TODAY
- 01PICK
繰り返し起きている同じ種類のつまずきを1件だけ、1行で書く。仕事でなくてかまいません。誰のせいかは書かない。
- 02SPLIT
その下に見出しを2つ。**「これまでに直したやり方」**と**「その都度、結果だけ埋め合わせたこと」**。思い出せる範囲で1行ずつ。空欄でもかまいません。
- 03KEEP
紙はそのまま閉じる。シングルかダブルかは書かず、採点もしない。残すのは、つまずきの1行と2つの見出しと、その下の記入(空欄ならその旨)だけ。
ループの数え方には、便利な性質があります。1本足すだけで、話が一段深くなったように聞こえる。しかも深さは測られていないので、誰も検算できない——というのが、この号の読み筋です。
確かめられたのは3つ。8点の本文と索引に、その語の用例が見当たらなかったこと。帰属は割れ、最も早い用例は1992年の書籍だったこと。2004年のレビューが数えたのは、論文の本数のほうだったこと。
「ループが3本になると学習が一段深くなる」を測った研究には、この6本の範囲では、たどり着けませんでした。問い直したかどうかをその場で判定する方法も、渡しません。今日残せるのは、つまずきがひとつ、直したやり方がひとつ、埋め合わせがひとつ。記録が1件です。
SECOND LAYER · FULL SYLLABUSダブルループ学習を、もっと深く学ぶ。→
