IN LEARNING & GROWTH · ISSUE 194

(仮ビジュアル)石造りの建物の広い階段を、黒いロングコートに白いワイドパンツの女性が、ひとりで下りてくる写真● 12 SEC
Visual: ALIFE Editorial

1994年に出た尺度の検証は、8年かけて40を超える標本から集めた働く成人1,055人(男性825・女性207・不明23、19〜73歳、平均38.14歳)。尺度づくりに使わなかった別の3標本(高知能団体の会員547人ほか)も別に報告されています。

「面白いから」の側と「報酬や評価のため」の側の合計点の相関は、成人で −.08。相関係数は0なら関連なし。ほとんど0です。著者たちの言葉では、この2つは本質的に直交している〔互いに独立した2本の目盛り〕。両方に高い人は27人で、偶然の期待値30人とほぼ同じ。学生1,363人(男性499・女性864)では −.21、両方に高い人19人で期待値31人。片方が上がれば片方が下がるシーソーの形は、この数字と合いません。

扱うのは、学ぶ理由を型に分けて測ると何が見えるか。報酬が好奇心を損なうかという実験には入りません。

よく引かれるのは、自律・熟達・目的の3区分でしょう。出どころは2009年の一般向け書籍です。この号は、その書籍を読んでいません。

測られているのは3つではなく5つ。2015年の尺度は7言語・9か国(カナダ・フランス・セネガル・イギリス・ベルギー・ノルウェー・スイス・中国・インドネシア)の3,435人で検証されました。19項目で測るのは、無動機・外的な調整(報酬や罰)・取り入れ(恥や自尊心)・同一視(意味があると納得)・内発(それ自体が面白い)の5つ。

5因子は7言語で同じ形になったと報告されています。ただし著者自身の但し書きは、ノルウェー語とインドネシア語で受け入れられる範囲、ドイツ語と中国語はそれに近い。

(仮ビジュアル)石造りの建物の広い階段を、黒いロングコートに白いワイドパンツの女性が、ひとりで下りてくる写真
面白いから・意味があると納得している・恥ずかしいから・報酬のため・理由が見あたらない。測られていたのは、この5つ。 Visual: ALIFE

読んだ6本のうち5本には、同じ研究者が入っています。独立した6件ではありません。

01内発が13指標中10で最も強い。ただし仕事の成果では「納得」が上だった。2021年のメタ分析。原典は「104 articles and manuscripts containing 124 samples (72 published, 32 unpublished samples)」——括弧内は「標本」なのに、72+32は124ではなく104。説明はありません。第1の層——内発は相対重要度〔説明できた分を100とした取り分〕が動機づけの効果の46.23%超、燃え尽き・没入・職務満足・情緒的愛着・離職意図・自発性・逸脱行動・欠勤では50%超を説明し、13指標中10で最も強い予測因子。第2の層——2番目は同一視の22.67%超で、仕事の成果では内発より重要、心身の苦痛では同じだけ説明し、職務外の助け合いでは取り入れ33.91%・同一視31.05%・内発25.04%と僅差で最重要。

02隣り合う型は、名前ほど別々には測れていない。著者たちは2分割も勧めていない。2017年の集計。13種の尺度を使う486の独立標本(公表374本・未公表88本)から4,111個の相関、20万5千人超。値は信頼性を補正した推定で、観測された相関ではありません。順に並ぶという仮説はおおむね支持。ただし自律寄りの3つ(同一視・統合・内発)どうしは .818〜.913、統制寄りの隣どうしは .510〜.603——.9 に近い相関は、ほぼ同じものを測っているということです。全領域の値で、仕事だけなら .80(標本9)・.82(76)・.89(9)と一段低い。ばらつきの目安(I²)は98.13〜99.75%。著者たちは統合の居場所も内発の下位尺度も支持せず、2分割も経験的には勧めず、まとめ方の重みを検証した実証研究は無いとも書きます。

03同じ人の中で複数の型が同時に立つ。最多は、どの型も平均水準の人たちだった。2016年の研究は、個人ごとの回答の組み合わせで分類しました(潜在プロファイル分析)。カナダの従業員723人(女性15.8%・性別不明54.1%)とベルギーの従業員286人(女性57.7%)。型は4つ——無動機が目立つ人(カナダ27.6%/ベルギー13.1%)、中程度に自律的な人(11.5%/27.8%)、あらゆる動機が高い人(25.6%/22.0%)、均衡型(35.3%/37.1%)。ただし原典の均衡型は「すべての型が平均的な水準」で、「全部がほどほどに高い」ではありません。

(仮ビジュアル)ベージュの空間で、黒い石の細長い天板を、灰青のガラス・銀の金属・赤い漆という3本の異なる脚がそれぞれ支えているコンソールテーブル
9か国3,435人の尺度と124標本の集計/486標本・20万5千人超の相関/カナダ723人とベルギー286人、成人1,055人。まず測られたのは、この3本。 Visual: ALIFE

動くのは、引用されていく途中のほうです。落ちやすいのは3か所。

01「内発は成果に効かない」と読むと、同じ論文の第1の層が消える。同じ論文が、その前に別のことを書いています。13のうち10と、残りの一部。丸めると意味が変わります。10%を切ったのは外的な調整だけ、意味を持ったのは「辞めると損だから留まる」型の愛着(76.78%)。ただし大半は横断の相関調査で、動機も成果も同じ人の回答です。原典自身が共通の測り方によるばらつきと自己報告のバイアスを挙げ、縦断研究・準実験が要ると続けます。この号が「効く」と書かないのは、そのためです。

02「3つの要素がある、と研究で示されている」と読むと、探した場所が消える。保存した6本の全文を、この号が自分で検索しました。2015年の尺度の論文に「熟達(mastery)」0件、「目的(purpose)」0件、書籍の著者名0件。「自律(autonomy)」だけは35件で、自律性という欲求・自律的な動機づけという、この理論の中の意味です。残る5本も同様(「熟達」は2021年に3件、別語)。そして2021年のメタ分析の本文に、その2009年の書籍は実在します。引かれているのは経営書での人気の例としてで、3区分の根拠としてではありません。当たった6本の範囲では、3区分を構成概念として検証した記述に行き当たりません。

03「最多は均衡型だから安心だ」と読むと、その型が何と結びつくかが消える。均衡型が最多——カナダ35.3%、ベルギー37.1%。同じ論文が、その先を測っています。成果を測ったのはベルギーの286人だけ。役割の中でも外でも成果が高いのは「あらゆる動機が高い人」と「中程度に自律的な人」、低いのは「無動機が目立つ人」と「均衡型」で、この2つは区別できませんでした。燃え尽きが最も高いのも均衡型、次が無動機。人数のいちばん多い型が、成果では低い側・燃え尽きでは高い側にありました。ただし1標本の横断の調査で、すべて本人の回答です。

(仮ビジュアル)3つの縦長の区画に分かれた写真。左は薄暗い寝室の乱れた寝具(壁に採光)、中央は窓の外を見ている女性の横顔、右は玄関の床に置かれた上着と鍵
内発は効かないと読む・3つは示されていると読む・多数派だから安心と読む。崩れるのは、この三か所。 Visual: ALIFE

全文まで読めたのは7点のうち6点。読めていないものについては書きません。性別が書いてあるのは6本のうち3本、9か国の一覧は1本だけ、486標本の国の内訳は示されていません。日本で実施されたと書いてある研究はありません。水準はすべて個人です。

「この型の動機を持てば成果が上がる」という数値も、ここにはありません。6本のうち、無作為な割り付けを持つ実験は1本もないからです。あるのは尺度を作った研究2本、相関を束ねた集計2本、回答で分類した研究1本、2005年に理論を提示した論文1本で、効果の測定ではありません。2017年の集計は2015年の尺度を集計対象13尺度の1つに含んでもいます。同じ道具と同じ著者が、集計する側とされる側の両方にいる。

好奇心と給料は、別の目盛りだった。
いちばん多かったのは、どの型も平均の人。

次の3手も、研究が命じた順番ではありません。測られたのは質問紙の点数と、その相関だけ。ここからはALIFEが提案する実践の入口です。

TRY IT TODAY

  1. 01PICK

    **今日か昨日、誰にも頼まれていないのに調べたこと・読んだこと・聞いたことを1件だけ**書き出す。思い当たらなければ「無かった」と書いて完了です。

  2. 02WHY

    その下に、調べ始めたきっかけを1行。面白かった・気になった・なんとなく——自分の言葉のままで。5つの型に当てはめる必要はありません。

  3. 03SORT

    書いた1行を見て、「ひとつだった」「ふたつ以上あった」「うまく書けなかった」から1つ選んで印を付ける。記録はこの3つだけです。

3分。**採点はありません。**記録として見る課題で、動機の質を測る課題ではありません。他人の動機は書かない。やる気を判定しない。提出もしない。組織にいなければ家事や趣味のことでも同じです。**苦しくなったら、そこで中止してください。**自分の落ち度に聞こえてつらい場合は、信頼できる相談先や専門家へ。

内発的学習動機は、学ぶ理由の型のひとつにつけられた名前で、純粋さの等級ではない——というのが、この号の読み筋です。確かめられたのは、内発と外発が直交していたこと、測られているのは3区分ではなく5つの型だったこと、内発は13指標中10で最強でも仕事の成果では同一視が上だったこと、最多の均衡型が成果では最も低い側・燃え尽きでは最も高い側にあったこと。今日残せるのは、調べたことが1件、きっかけが1行、印が1つ。

SECOND LAYER · FULL SYLLABUS内発的学習動機を、もっと深く学ぶ。→
HOW TO READ THE NUMBERS数字の読み方

この号に出てくる統計の言葉です。数値は原典のまま、意味だけをほどいています。

メタ分析
同じテーマの研究をたくさん集めて統合し、平均的な効き目を推定する方法。1本の研究より安定しますが、集めた研究の質と偏りに左右されます。
観察研究・前向き研究
介入せずに経過を追いかける研究。「関連がある」までは言えますが、「それが原因だ」とは言い切れません。

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本コンテンツは学習目的であり、診断や治療の代替ではありません。