IN FAMILY · ISSUE 042

薄暗い廊下で、少し開いた扉から差す琥珀色の光を受けて立つ女性● 12 SEC
Visual: ALIFE Editorial

米国の時間日誌データで、母親が子と過ごした時間の量と、3〜11歳の子どもの行動・感情・学業との関連は、検出されませんでした。1,605人分の記録です。この結果は「量より質」の見出しになって世界を回りました。ところが同じ研究は、時間の質を測っていません。

範囲を先に決めます。この号が扱うのは、家族の中で同じ関わりが繰り返されること——規則性が、どこまで測られてきたかです。良い親・良い家族の採点はしません。続けられなかった過去を数える号でもありません。

継続(Consistency)とは、同じ働きかけが予測できる形で繰り返されること。意志の強さではなく、頻度とばらつきの話です。就寝前の手順が週に何回あるか、寝る時刻が日ごとにどれだけずれるか、家族の構成が何回組み替わったか——数えられてきたのは、そういう外側の量です。

測られた場面の多くは同居の親子ですが、この号で読む規則性そのものは、離れて暮らす親との日曜の電話でも、きょうだいとの月1回でも、一人で暮らす人が自分に対して置く手順でも、同じ形で成立します。

窓辺の木のテーブルに、いつもの跡の上へ置かれた一冊の本と、両側に等間隔で並ぶ二つの黒い器
同じ時刻に、同じ形で、同じ相手と。数えられてきたのは、意志ではなく回数のほうです。 Visual: ALIFE

「量より質」は、忙しい大人に都合のいい要約でした。ただ、もとの研究を開くと、量の側も質の側も、そのままでは受け取れません。測られたのは3つです。

01量の側は、関連が検出されなかった。2015年の研究は、米国の家計パネル調査の時間日誌で、3〜11歳1,605人と12〜18歳778人(計2,383人)の、母親と過ごす時間の量と学業・行動・心の状態との関連を調べました。3〜11歳では、関わる時間もそばにいる時間も、関連は検出されませんでした。関連が出たのは思春期で、母親と関わる時間が多い子ほど非行的な行動が少ない。年齢を問わず、母親の学歴や世帯収入のほうが強く結びつきます。観察データの分析で、時間の使い方が結果を決めると示したものではありません。

02質の優位は、比べられていない。同じ2015年のブルッキングス研究所の論評は、この研究が時間の質を測定していないと指摘しました。読み聞かせなのか同じ部屋で別々に画面を見ているのかを区別するデータはなく、質が量に勝るという仮説は、この論文では検証されていません。2014年の時間日誌研究は、母親が就労する家庭では時間の総量が減る一方、教育的・構造化された活動の時間は保たれ、発達と結びついていたのは総量ではなくこの活動の時間だと報告しました。

03規則性には、用量反応のような勾配があった。2015年の国際調査は、14の国と地域の母親1万85人に、0〜5歳の子の就寝前の決まった手順の頻度と睡眠を尋ねました。頻度が「なし」から「毎晩」へ上がるにつれ、寝つきは平均23.5分から18.2分へ、夜中に起きる回数は3.2回から2.2回へ、夜の睡眠は8.2時間から9.9時間へ、段階的に差がつきます。未就学児でも同じ向き。ただしある時期を切り取った横断調査で、0〜5歳の睡眠という限られたアウトカムです。よく眠る子の家庭ほど手順を保ちやすい、という逆向きの説明も残ります。

等間隔でまっすぐ立ち並ぶ黒い石のブロックの列と、その中の一つだけの琥珀色のガラスのブロック
関連が検出されなかった量・比べられていない質・勾配の出た規則性。まず測られたのは、この3本。 Visual: ALIFE

ここから先は、数字より読み方の話です。ずれやすいのは3か所。

01「量は関係ない」と読む。関連が検出されなかったのは、米国の時間日誌で3〜11歳の子と母親の時間量を測ったときの話です。時間日誌は限られた日数の切り取りで、測定の粗さが関連を薄めた可能性も残ります。見つからなかったことは、量の多い家庭と少ない家庭が同等だという確認ではありません。思春期の部分(778人)では、関連が出ています。

02「量より質」と読む。質と量を比べる分析は、この研究では行われていません。論評が指摘したのは、質の測定がないという一点です。「量より質」と言い換えると、データの外にある結論を、中にあるものとして運ぶことになります。質の側で示されているのは、教育的・構造化された活動の時間との関連(2014年の分析)までです。

03「続かないのは、意志の問題」と読む。転居、離別、同居人の入れ替わりのような家族の再編も、繰り返しの崩れです。2007年の米国の縦断データの分析は、家族構造の移行の回数が多い子ほど行動の問題が多いと報告しています(全文は確認できておらず、報告の紹介にとどめます)。ただし眼目は慎重さで、白人の子どもでは認知面の関連の大部分が母親の移行前からの特性で説明され、行動面に部分的な関連が残り、黒人の子どもでは頑健な関連が見られませんでした。集団ごとに結果が違い、回数を数えるだけでは原因と選択の区別はつきません。

コンクリート壁の三つのくぼみに、積み上げた黒い石板・一枚だけの石板と空いた跡・欠けと再開のあるブロックの列が並ぶ
量は関係ないと読む・量より質と読む・意志の問題と読む。ずれは、この三つに出ます。 Visual: ALIFE

英国のミレニアム・コホートの分析は、1万230人の子どもの3歳・5歳・7歳時点の就寝時刻の規則性を追いました。不規則な子は多動・行為の問題・情緒の問題のスコアが高く、不規則な時期が長いほど差は大きくなっていました。途中で規則的な就寝へ変わった子では、行動の問題のスコアが低いという結果も出ました。ただしこれも観察研究で、就寝時刻を割り付けた実験ではありません。眠りやすさや家庭の事情など、両方に関わる要因は残ります。差が縮んだのも、次の測定時点——年の単位です。

しつけの一貫性のほうも、矢印は一方向ではありません。1,435研究を統合した2017年のメタ分析で、子どもの外在化の問題と最も強く結びついていたのは、きつい統制と心理的な統制でした。しかも関連の多くは双方向です。親の関わりが子の問題の変化を予測すると同時に、子の問題が親の関わりの変化を予測していました。崩れがきつい統制を呼び、それがまた崩れを呼ぶ——この循環は研究が追跡した経路ではなく、双方向性からALIFEが引いた読み筋です。

量では関連が出ず、質は測られていない。
勾配が出たのは、0〜5歳の睡眠でした。

完璧に続けられることは、前提ではありません。就寝手順の調査で並んでいたのは「なし」から「毎晩」までの勾配で、1日も欠かさない家庭だけが別枠にあったわけではない。コホートの結果を読むかぎり、途切れた時期があることは、そこで終わりを意味しません。指標にできるのは完走率よりも、途切れたあとに戻ってこられるかです——研究が命じた順番ではなく、ALIFEが提案する実践の入口です。

TRY IT TODAY

  1. 01PICK

    家族との接点を一つ選び、5分以内の形にする。絵本1冊、電話1本、3行のメッセージ。

  2. 02ATTACH

    すでに毎日やっている行動(夕食・歯みがき・帰宅)の直後に、その定例を貼りつける。

  3. 03MARK

    今日の分を1回だけ実行して、カレンダーに丸を1つつける。

10分。**続いた日数を採点する課題ではありません。**完璧に続くことは前提ではなく、今日の1回だけで成立します。一人で暮らしている場合、家族と離れている場合、連絡を取っていない相手しかいない場合は、友人やきょうだいへの定時のメッセージでも、自分の就寝前の固定手順(同じ時刻に照明を落として1ページ読む)でも構いません。相手に定例を求める課題ではないので、相手の生活と合わない形なら、自分の側だけで完結する形に変えてください。カレンダーは家族と共有の場所でも構いません。見られたくない場合は、手帳やスマートフォンの中だけの記録にしてください。書いていてつらくなったら、そこで中止してください。つらさが続く・強まるときは、医療・支援の専門家へ相談してください。

この号の研究は母親の報告に大きく偏り、父親・祖父母・きょうだいの時間はほとんど測られていません。標本は米国と英国が中心で、就寝手順の国際調査は横断、時間日誌は限られた日の切り取り。勾配の数字も、0〜5歳の睡眠という限られた範囲のものです。ここに並んだ数字は、あなたの家の数字ではありません。今夜数えられるのは平均でも効果量でもなく、カレンダーについた丸の数のほうです。

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HOW TO READ THE NUMBERS数字の読み方

この号に出てくる統計の言葉です。数値は原典のまま、意味だけをほどいています。

効果量
差や関連の「大きさ」を、単位の違う研究どうしでも比べられるようにした共通の物差し。「効果があるか」ではなく「どれくらいか」を表します。
メタ分析
同じテーマの研究をたくさん集めて統合し、平均的な効き目を推定する方法。1本の研究より安定しますが、集めた研究の質と偏りに左右されます。
観察研究・前向き研究
介入せずに経過を追いかける研究。「関連がある」までは言えますが、「それが原因だ」とは言い切れません。

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本コンテンツは学習目的であり、診断や治療の代替ではありません。